島々に灯をともしけり春の海

しまじまに ひをともしけり はるのうみ

子規の「春の海」は動くか否か

子規居士自画肖像「俳句稿」(1897年)所収、新聞日本(1900年5月18日)掲載の正岡子規の俳句。前年より寝たきり状態となり、そのような中でも、1897年(明治30年)1月には、「ほとゝぎす」創刊に関わっている。


敬愛する与謝蕪村の「春の海ひねもすのたりのたりかな」が念頭にあっただろうが、この俳句は恐らく、故郷・松山の沖合に浮かぶ島々の情景を思い出しながら詠んだもの。「ひねもすのたり~」の須磨の浦では、「島々」とはならない。「灯」は、灯台の灯ではなく、ぽつりぽつりと灯っていく家の明かり。

人々の営みを自然界の中に捉え、意味は「春の海が島々に明かりを灯しているよ」という感じになるが、「春の海」の必然性は、「希望」の一言に尽きるであろう。ただ、灯が入り始めた時間帯というのは、長い夜の始まり…

▶ 正岡子規の俳句

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