俳句

すずめの子そこのけそこのけお馬が通る

すずめのこ そこのけそこのけ おうまがとおる

一茶が見た馬は敵か味方か

すずめの子そこのけそこのけお馬が通る「八番日記」文政2年(1819年)2月の句で、「おらが春」などに載る小林一茶の有名句のひとつ。
一茶には、「けむからんそこのけそこのけきりぎりす」「やよや蝶そこのけそこのけ湯がはねる」などの句もあり、「そこのけそこのけ」は、狂言「対馬祭」の「馬場のけ馬場のけ~御馬が参る御馬が参る」に依る文言だと言われている。

現代風に解釈すれば、季語は「雀の子」で春。「馬」を「公権」と見て、体制を批判した句と捉えられることがあるが、馬に扮した子供の遊びを描写して「そこのけそこのけお馬が通る」としたと見る向きもある。
只いずれにしても、大が小を蹴散らす世界を詠みこんだことに違いはない。

▶ 小林一茶の句

句評「すずめの子そこのけそこのけお馬が通る」

高浜虚子「俳句はかく解しかく味わう」1918年

「下におろ」とか「のいたのいた」とか人払いをして大名の馬が通る。それを見る度に一茶の眼には憤慨の涙がにじみ出たものであろう。この句は雀の子が、まだ十分に羽づくろいも出来ずに道の上に下りておる。そこへ大名の行列が来た、「雀子よ其処をのいたのいた、そうしないと馬にふまれて死ぬるぞ」というのである。雀子に托して百姓などのみじめさを言ったものである。

俳句と季語俳句検索俳人検索俳句の辞世句俳句暦俳句関連骨董品