三夏の季語 蛞蝓
陸に生息する巻貝(軟体動物門腹足綱)のうち、殻が退化しているものの総称で、殻を持つ種類はカタツムリである。
元はカタツムリのように殻を持っていたが、それを失う方向へと進化した結果、ナメクジとなった。このような貝殻の消失はウミウシなどにも起こっており、「ナメクジ化」と呼ばれる。
日本には、在来種のナメクジ科のナメクジや大型のヤマナメクジ、ヨーロッパからの外来種であるチャコウラナメクジなどが生息している。一年をとおして見られる生物であるが、湿気を好むために、梅雨時に特に目につくため、夏の季語となる。
交尾をして増殖するが、メスでもオスでもあり、卵子と精子を両方持つ雌雄同体である。
落葉を主食とするが、農作物にも被害を与えるために害虫とされる。またその見た目や、這ったあとに残る粘液から、不快害虫としての側面も持つ。そのようなナメクジを溶かすといって塩を振りかけることがあるが、浸透圧によって水分が抜け、小さくなるだけである。
ナメクジの語源は、その作物を食す姿から、「舐める」と、えぐることを指す「くじる」にあると考えられている。
【蛞蝓の俳句】
なめくぢり這ひて光るや古具足 服部嵐雪