初夏の季語 忍冬の花
忍冬(すいかずら・にんどう)・金銀花(きんぎんか)
スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本スイカズラ。5月から6月頃に花をつけ、夕方に甘い香りを漂わせる。繁殖力が旺盛で、全国の林縁や道端などに生え、庭に植えることもある。英名は、ジャパニーズハニーサックル(Japanese honeysuckle)という。
花をくわえて蜜を吸っていたことから「すいかずら」の名がつき、「吸葛」の字が当てられる。「忍冬」の字は、冬になっても葉を散らさないことから当てられた。花の色ははじめピンクであるものの、次第に白から黄色に変わることから、「金銀花」とも呼ぶ。
俳諧歳時記栞草(1851年)には、夏之部五月に分類され、「忍冬花」と書いて「にんどうのはな」「すひかづら」と読ませている。
かつては、砂糖の代わりとして用いられたこともある。
蔓で絡みつくことから、花言葉は「愛の絆」「友愛」となっている。「金銀花」の別名から、金運上昇につながる縁起のよい花とされる。
疲労回復効果などがある漢方薬としても用いられる。徳川家康も飲んだとされる薬味酒「忍冬酒」は、忍冬の花や葉などを焼酎に漬け込んだもので、1997年に浜松市で復活した。また、酒造の神として知られる奈良の大神神社の鎮花祭では、御神酒として、日本酒に花蕾が漬け込まれた「忍冬酒」が奉納されるという。