晩夏の季語 月下美人
月来香(げつらいこう)・女王花(じょおうか)
サボテン科クジャクサボテン属ゲッカビジンは、メキシコ原産のサボテンの一種。日本では6月から10月頃、一晩のみ花をつけ、ジャスミンに似た芳香を漂わせる。コウモリを呼び寄せる哺乳類媒花である。
原種は白花で、園芸品種には赤や桃色などもある。日本へは、大正時代の末に渡来してきた。1980年代以前に国内に流通していたものは、1株の原種からのクローンだったため果実ができなかったが、現在流通しているものの中には果実ができるものがあり、「食用月下美人」と呼んでドラゴンフルーツに似た赤い果実を食す。因みに、花も食すことができる。
「月下美人」は、夜間に美しく咲く花を形容した名であるが、昭和天皇が皇太子として台湾を訪れた際、当時の台湾総統が「月下の美人」と紹介したことから、「月下美人」という名が定着したという。
1年に1度しか咲かないと流布されてきたが、2回以上咲くことがある。また、満月の夜にしか咲かないというのも間違いである。
【月下美人の俳句】
月下美人力かぎりに更けにけり 阿部みどり女