三夏の季語 蟹
蟹の子(かにのこ)・沢蟹(さわがに)・ざり蟹(ざりがに)
同じ蟹でも、ずわい蟹などは冬の季語となる。古事記の応神天皇条にはすでに、「この蟹や」ではじまる横歩きを織り込んだ長歌がある。古来、霊性のあるものとしてとらえられ、古語拾遺のヒコナギサが生まれる項には、蟹を掃う職の蟹守が出てくる。これは、宮中の設営や掃除を担う係であり、安産を祈りながら、生命の更新に役割を果たすと考えられていた蟹を守る役目を担っていたと考えられている。
語源は、甲が赤いところから「甲丹」の転訛とも考えられるが、中国での呼び名「かい」から来たとの説もある。