季語|海月(くらげ・かいげつ)

三夏の季語 海月

水母(くらげ・すいぼ)

海月の俳句と季語刺胞動物門に属し、ヒドロ虫綱・十文字クラゲ綱・箱虫綱・鉢虫綱に分かれる。淡水や海水中に生息し、浮遊生活をする。
ゼラチン質の体を持ち、傘の下面の中心部に口があり、動物性の餌を採る。多くの種類では傘の縁に触手がある。従来、肛門はないと考えられてきたが、近年、それを覆す研究結果が発表されている。
多くのクラゲでは、雌雄異体である。幼生はポリプとなり、そこから出芽してエフィラというプランクトンになる。ポリプは、無性生殖によって増殖するため、クラゲには無性世代、有性世代が存在する。

「くらげ」の語源は、目がないように見えることから「暗気」に由来するという説がある。「海月」「水月」と書くのは、水に浮んだ傘が、水中の月のように見えるからである。中国では、クラゲのことを「水母」と書く。
古事記に既に現れ、「天地のはじめ」で国の形がまだ定まっていない時に、「国わかく、浮かべる脂の如くして水母なす漂へる時に、葦牙のごと萌えあがる物によりて成りませる神の名は、ウマシアシカビヒコヂの神」とある。

俳諧歳時記栞草には、六月項に「海月取(くらげとる)」がある。「滑稽雑談」の引用で、「泥海に生ず、故に備前・筑前等より、多く此月取て、檞の葉を多く割て、海月の肉を包み、塩を用ひず、只葉を以て淹蔵する也」とある。
古来、骨のないものの代表として挙げられるクラゲは、「枕草子」にも出てくる。珍しい骨を手に入れた自慢する藤原隆家に対して、清少納言が海月の骨だと言って返すものである。あり得ない物事のたとえとして、「クラゲの骨」という語にもなっている。

盆過ぎの海ではクラゲに刺されると言い、盆過ぎにはクラゲが多く出現すると言われている。この盆過ぎに出現するクラゲは、主にアンドンクラゲである。
近年では、大きなエチゼンクラゲが漁業などに影響を及ぼしているとの報道も増えたが、肥料や飼料、食用にするなど有効利用する方法も考えられている。元々日本と中国には、食用にする文化もある。
1984年にアメリカのモントレー湾水族館がクラゲの展示を目玉にしたことから、日本でも水族館におけるクラゲの展示は人気を集めている。特に、山形県の加茂水族館のクラゲは、廃業の危機を救ったとしてテレビにも紹介され、ギネスに認定された世界一のクラゲ水族館としての魅力とも相まって有名である。

【海月の俳句】

水母また骨を探してただよへり  岩淵喜代子

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