季語|百合(ゆり)

仲夏の季語 百合

鬼百合(おにゆり)山百合(やまゆり)・笹百合(ささゆり)・姫百合(ひめゆり)鉄砲百合(てっぽうゆり)・車百合(くるまゆり)

百合の俳句と季語ユリ目ユリ科ユリ属の多年草で、その花季から夏の季語となる。日本ではヤマユリ・ササユリ・テッポウユリなど、7種ほど特産種がある。園芸種も含め、5月から8月頃に開花し、球根は食用や薬用として活用される。
キリスト教の復活祭には、「イースターリリー」が登場する。かつては、マリアの純潔の象徴として、純白のマドンナリリーが使用されていたが、シーボルトが日本から持ち帰ったテッポウユリがそれに代わったという。

花が風に揺られる様から、「揺り」を語源とする説がある。英語での「Lily(リリー)」は、ラテン語の「līlium(リーリウム)」から来ているとされ、「ユリ」に近い発音を持つことは興味深い。
「ユリ」の名は、古くは高麗百済から伝わったと言われているが、既に古事記(神武天皇記)には、「山百合草(山由理草)」の名がある。その条によると、山百合草の元の名は「佐韋(さゐ)」であったとされる。
一説には、神武天皇の皇后であるイスケヨリヒメの家が佐韋河の上にあったことから、イスケヨリヒメの名から「ヨリ」と呼ばれていたものが、転訛して「ユリ」の名になったとも。
日本書紀(皇極天皇紀)には、「其の茎の長さ八尺。其の本異にして末連へり」とある。一般に、この球根の形から「百合」の文字が当てられたとされる。

万葉集には「百合」として10首ほどの中に現われ、接頭語をつけて「さゆり」となるものもある。紀朝臣豊河の

我妹子が家の垣内のさ百合花 ゆりと言へるはいなと言ふに似る

のように、「後ほど」という意味の「ゆり」とともに用いられることが多い。

「立てば芍薬、坐れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言って、美女を形容する言葉にも使用される。
新約聖書には「ソロモンの栄華もユリに如かず」とあるが、人間の作り上げたものは神の創造物には及ばないことの比喩である。
また「百合」は、女性の同性愛を指す言葉としても知られている。

【百合の俳句】

花をやれとかく浮世は車百合  西山宗因

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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