晩春の季語 通草の花
アケビ科アケビ属アケビは山野に自生し、実は「通草」として秋の季語となる。通草の花は雌雄同株・雌雄異花で、4月から5月頃に見られる。大きな雌花と小さな雄花が垂れ下がって咲く。
同属に花の色が濃い「ミツバアケビ」があり、こちらも「通草の花」として俳句に詠まれる。
「あけび」は「朱実」が語源との説があるが、現在では、秋に実が割れる様を「開け実」と言ったことによるとの説が定着している。割れた実の形を、人があくびをしている様に見立てたという説もある。
あけびは、「通草」の他、「木通」「山女」「丁翁」とも表記する。
万葉集では「さのかた」として歌われているという説があり、作者不詳で
さのかたは実にならずとも花のみに 咲きて見えこそ恋のなぐさみにさのかたは実になりにしを今さらに 春雨降りて花咲かめやも
の2首がある。
【通草の花の俳句】
海鳴れり通草も黒き花を垂れ 相生垣瓜人