晩秋の季語 温め酒
中国では、重陽の日(陰暦9月9日・菊の節句)に酒を温めて飲むと病気にかからないと言われていた。日本にも、平安時代以前にそれが伝わっていたと見られ、酒を温める習慣がある。
正式には、菊の節句(陰暦9月9日)から桃の節句(陰暦3月3日)までが酒を温めて飲む期間とされ、「燗酒」で冬の季語になる。故に、「温め酒」と言った場合には、無病息災を祈って飲む、火を通した酒(湯割りではない)のことであって、限定的になる。
重陽の日に飲む酒として広く知られる「菊酒」にも通じるが、現在における「菊酒」のかたちは様々で、冷酒に菊の花を浮かべて飲むことが多い。
現在のおすすめのスタイルは、古くから「加賀の菊酒」として有名な名酒「菊姫」を燗にして頂くこと。菊理媛(くくりひめ)の座す白山から流れ出た水を使用し、伝統的な製法で醸し出した骨太な日本酒は、燗上がりして美味い。
なお、正式には「あたためざけ」と言うが、語呂が良い「ぬくめざけ」を使用することも多い。
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【温め酒の俳句】
火美し酒美しやあたためむ 山口青邨