季語|雷(かみなり・らい・いなづま・いかづち)

三夏の季語 

雷雨(らいう)雷鳴(らいめい)遠雷(えんらい)はたた神(はたたがみ)

季語と俳句で雷(北野天神縁起)夏季には、地上が熱せられることで上昇気流が発生しやすく、それにともなって生じる積乱雲が電位差を生み、雲間あるいは地上との間で放電が起こる。この時に生じる雷鳴と稲妻を「雷」という。気象庁の定義では、「雷電がある状態。電光のみは含まない」とあり、「雷」という場合には必ず雷鳴を伴う。
江戸時代には夏のものとの認識は低かったようであるが、近代に入り、雷は夏季に多く生じることから夏の季語となる。けれども、年中発生することから、春雷寒雷といった季語もある。因みに稲妻は、稲に実りをもたらすものと考えられ、秋の季語となっている。
語源は、「神鳴り」であり、かつては神が鳴らしていると考えられていた。「いかづち」も「厳つ霊」が元になっている。「はたた神」というのは、「はためく神」といった意味である。
「地震、雷、火事、親父」と言われ、昔から恐れられてきた。

「遠雷」といった場合、稲光から遅れて到達する雷鳴を味わう傾向が強いが、この差は音速と光速の違いにより生じる。光って1秒後に雷鳴を聞いた場合、雷は340m離れたところで発生したことになる。

古事記では、母神である伊耶那美の死体に8柱の雷神が成ったとある。また、国譲りの時に活躍した建御雷(鹿島神宮の神)も雷神と考えられるなど、複数の雷神が登場する。
平安時代には、菅原道真公が藤原一族に復讐するために雷神になったという話が広がった。菅原道真公は「桑原」に土地を持っており、そこは雷が落ちなかったという話が伝わり、雷が鳴ると「くわばら、くわばら」と唱えるようになったという。
万葉集には「鳴る神」として登場し、

天雲に近く光りて鳴る神の 見れば畏し見ねば悲しも(作者不詳)

などがある。また、「雷」を「かみ」と読ませる

伊香保嶺に雷な鳴りそね我が上には 故はなけども子らによりてぞ(作者不詳)

もある。

【雷の俳句】

遠雷のいとかすかなるたしかさよ  細見綾子
雷鳴の真只中で愛しあふ  仙田洋子

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