季語|蓑虫(みのむし)

三秋の季語 蓑虫

蓑虫の季語と俳句ミノガ科のガの幼虫は、口から出した糸で葉などを綴り合せ、その中に棲む。雄は羽化して巣から出るが、雌は芋虫のような姿で、一生を蓑の中で過ごす。
大きくてよく目にするものにオオミノガがあるが、オオミノガは7月頃に孵化してすぐに蓑を作り始め、蓑を背負ったまま葉を食べて大きくなる。10月頃から越冬に入り、ひとところで動かなくなる。6月頃に雄は蓑を抜け出し、蓑の中から発する雌のフェロモンに誘引されて交尾する。産卵は蓑の中で行われ、雌が死ぬとともに幼虫が蓑から這い出して来る。

秋には「蓑虫鳴く」の季語もあるが、蓑虫は鳴かない。現在では、バッタ目のカネタタキの鳴き声を聞いて「蓑虫鳴く」の季語が生まれたと考えられている。
なお、「蓑虫鳴く」と言った時、その声は「ちちよ、ちちよ(父よ、父よ)」と聞きなす。「枕草子」には、

蓑虫いとあわれなり。鬼の生みたれば、親に似てこれもおそろしき心あらむとて、親のあやしききぬ引き着せて、
「いま秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ」
といひおきて、逃げて往にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになりぬれば、
「ちちよ、ちちよ」
とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり。

とある。これを以て、「鬼の子」で蓑虫を指す。

【蓑虫の俳句】

蓑虫の音を聞きに来よ草の庵  松尾芭蕉

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