俳句

季語|案山子(かがし・かかし・あんざんし・そおず・そおど)

三秋の季語 案山子

捨案山子(すてかがし)鳥威(とりおどし)

案山子の俳句と季語収穫期の作物を守る目的で置かれる、鳥威のひとつ「案山子」も、近年では田畑で目にすることが少なくなった。その反面、過疎化の進む町村で、町おこしのツールとして用いられたりもしている。

「案山」とは深山と里の境界の構造物のことで、そこに魔除けとして立てた人形を「案山子」と言った。
「かがし」の語源は、節分の魔除け「焼嗅がし」に通じる。臭いで害獣をはらうものとの位置付けである。
また「そおず」と呼ぶ場合は、「添水」の意で、水の力で音を出す鹿おどしからきている。しかしまた、桓武天皇の病気平癒を祈願して大僧都となった僧侶、玄賓に因るとも言われる。案山子のことを玄賓僧都(げんぴんそうず)と呼ぶこともあるが、玄賓の創案によるからとも、続古今和歌集に載る僧都玄賓の和歌

山田守る僧都の身こそあはれなれ 秋果てぬれば問ふ人もなし

から来ているとも。
古事記の少名毘古那神(すくなびこなのかみ)の項では、少名毘古那の名を明かした神・久延毘古(くえびこ)を案山子とする。久延毘古は、山田の曾富騰(そほど)と呼ばれ、「足は行かねども天下のことを尽に知れる神」とされる。現代では、曾富騰を、雨に濡れる意の「そほつ」と解する見方がある。

【案山子の俳句】

名月にけろりと立しかゞし哉  小林一茶

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