三夏の季語 帆立貝
帆立貝は、膨らみが大きい貝殻と小さい貝殻が合わさる二枚貝であり、イタヤガイ科に属する。日本では、北海道・東北の浅い海から捕れる。
帆立貝の旬は、貝柱が最も大きくなる6月から8月。主に貝柱が食され、貝柱の周りにはヒモと呼ばれる外套膜がある。
敵に襲われると、貝殻を開閉し、外套膜から水を吐きながら泳いで逃げる。平たい方の貝を帆として風を受け、膨らみがある方の貝を船体にして海を走るという俗説から、「帆立貝」の名がつき、単に「帆立」とも呼ぶ。貝殻を扇に見立てて「海扇」という名もある。
帆立貝に似たものに、より南方に生息するイタヤガイやヒオウギガイなどがある。
サンドロ・ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」に見られるように、西洋では豊穣の象徴としてビーナスとともに描かれる。
【帆立貝の俳句】
帆立貝すなどる舟の帆を立てて 山口青邨