季語|黒南風(くろはえ・くろばえ)

仲夏の季語 黒南風

黒栄(くろはえ・くろばえ)

黒南風の季語と俳句梅雨初めの南風という説もあるが、概ね梅雨時の南風をいう。雲が低く垂れ込めた、暗い空から吹き寄せてくる湿った風である。「黒ばえて」と動詞にして使うこともある。
黒南風に対して、梅雨が明ける頃に吹く南風を「白南風」という。

俳諧歳時記栞草(1851年)では夏之部五月に「黒ばえ、白ばえ」があり、次のような解説がつく。

梅雨中の空合をいふ也。たとへば、かきくらして今も降やうなる空のうちに、又あかるくなるけしきを黒ばえといひ、又、小雨ふりながら折々はれんとするけしきあるを白ばえといふ。夕がたに暮かかる空の、ひとしきり晴てあかるくなるを夕ばえといふこころなるべし。

この「黒ばえ、白ばえ」というのは、風のことではなく、空の状態のことを指している。

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【黒南風の俳句】

黒南風や高炉火の舌恍惚と  加藤楸邨

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