季語|萱草の花(かんぞうのはな)

晩夏の季語 萱草の花

萱草(かんぞう)黄花萱草(きばなかんぞう)忘草(わすれぐさ・わするるくさ)

萱草の花の俳句と季語萱草とは忘草の中国名で、主に中国原産のヤブカンゾウを指す。ヤブカンゾウは、ススキノキ科ワスレグサ属ワスレグサの一品種で、有史以前に渡来したものが本州以南の野原や薮などに群生している。7月頃に花を咲かせ、一つの花は一日で萎む。
ワスレグサにはノカンゾウやハマカンゾウもあり、これらも「萱草」として詠んで差し支えはない。また、分類範囲をワスレグサ属まで広げると夕菅も「忘草」であり、ゼンテイカと呼ばれる日光黄菅も「萱草」と詠むことがある。

中国では、若草を食べると酔って憂を忘れると言われ、この花を持っていると辛いことを忘れることができると信じられた。そのことから日本では「忘草」と呼ばれ、万葉集に「わすれぐさ」で5首が載る。大伴旅人には次の和歌がある。

忘れ草我が紐に付く香具山の 古りにし里を忘れむがため

また、萱草の「萱」は元々、忘れることを意味する「諼」であったとの説もある。
ただし、「忘草」として「夏水仙」や「煙草(植物)」を指すこともあるので注意が必要である。

【萱草の花の俳句】

萱草や浅間をかくすちぎれ雲  寺田寅彦

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