新春の季語 正月の凧
武者絵凧(むしゃえだこ)・武者凧(むしゃだこ)・遠凧(とおだこ)
「凧」では三春の季語であるが、「正月の凧」で新春の季語となる。本来は測量や通信などの軍事目的で使用されたものであり、中国では紀元前4世紀には用いられていた。
日本では平安時代までには伝来し、次第に凧合戦が行われるようになってきた。凧合戦は全国いたる所で開催されていたが、時期は一定ではなく、主に新春から初夏にかけて開催されていた。江戸時代の俳諧歳時記栞草には、既に「春之部」に立項されている。
新春の凧は、俳句の世界では「正月の凧」として詠み込むことが多く、その他「初凧」「飾り凧」なども用いられる。
また「いかのぼり」は新春にも春にも挙げられる季語で、烏賊の形に似ていることから、本来の「凧」の呼び名であったと考えられている。江戸時代初めにいかのぼり禁止令が出たため、禁止を回避するために「たこ」と呼ばれるようになったと言われている。
正月の風物詩として凧が定着したのは、男子の健康成長を願うために用いられたからである。また、俳諧歳時記栞草には、小児の熱を冷ますために凧を揚げて空を見上げさせたともあり、新年に健康を祈る遊びとして定着していった。