晩夏の季語 夕凪
夕方に起こる海辺の無風状態のことで、日没から22時ころまで続くことがある。好天時には、陸と海の気温差のために、日中は海風、夜間は陸風が吹く。朝夕は、その切り替わり時に当たり、風が止まる時間帯がある。特に、海陸の温度差が大きくなる夏に顕著に表れる。
「夕凪」は万葉集の時代から歌われ、新勅撰和歌集に歌われた藤原定家の
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに やくや藻塩の身もこがれつつ
は、小倉百人一首97番になっている。
大正時代頃から季語になったと言われており、下記の子規の俳句も、通常は「三日月」で秋ととるが、現代では、「夕凪」の夏ととらえた情景の方が馴染みやすいだろう。
【夕凪の俳句】
夕凪や三日月見ゆる船の窓 正岡子規