俳句

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石原八束 

霜柱はがねのこゑをはなちけり 
くらがりに歳月を負ふ冬帽子 
くれなゐの袂かかへる初詣 
くらがりの歳月を負ふ冬帽子 
ナイル河の金の睡蓮ひらきけり 
わが詩の仮幻に消ゆる胡砂の秋 
法堂に氷柱めぐらす永平寺 
花はちす遠見に女みごもれる 
鰯雲炎えのこるもの地の涯に 
詩碑は海に据わる春雷湧きおこり 
相寄れば初蚊よぎりぬ湖の照り 
風背負ひ風車売去りにけり 
流人墓地みな壊えてをり鰤起し 
鮨喰うて道を急がずなりにけり 
息絶えてまた生きかへる秋の暮 
白炎をひいて流氷帰りけり 
夏帽の白きが夜をへだて去る