鷲谷七菜子 ●
花種を蒔きてこころは沖にあり 季風蝕の崖さんらんと鳥交る 季連翹のひかりに遠く喪服干す 季芦芽ぐむしづけさに水めぐるかな 季水中花大きく咲かせ夫持たず 季水中にくもる白日桜桃忌 季葉を洗ふ雨の音して文月かな 季日かげれば音冷まじき水の木曾 季梳く髪の絡みからみて稲びかり 季八雲立つ国の稲穂を手に測る 季手の熱き女と生まれ萩白し 季山の日のしみじみさせば吾亦紅 季冬の雲なほ捨てきれぬこころざし 季拈華微笑の日のさめてまた冬野かな 季梟や燠にちらりと炎立ち 季川幅を追ひつめてゆく枯芒 季枕に手置いてはるかや初昔 季
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