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石塚友二 

交む時竹撓はせて雀らよ 
街の子や雨後の溜りの水遊び 
青年の黒髪永遠に我鬼忌かな 
鎌倉に残る畑の芋の秋 
初便り皆生きてゐてくれしかな 
爪研いで成人の日の乙女はも 
百方に借あるごとし秋の暮 
すがすがと秘色の風の端午かな 
生ビール呷るや舌に縮む泡 
鼈甲の色滴らしまむし酒 
髯貯めて友も古りにし温め酒 
樽仙人熱燗の猪口ふふむ図か 
妻が夢子が夢雁や渡しつつ 
好日やわけても杉の空澄む日 
室咲の豆科ばかりのはかなさよ 
建長寺さまのぬる燗風邪引くな 
竹山の秀のしわしわと風光る 
春塵裡常凡の夫婦たらむかな 
泡盛や汚れて老ゆる人の中 
遣り過す土用鰻といふものも 
古草の芽や古草の芽なりけり 
射干の炎々燃ゆる芝の中 
水飯や一猫一犬二子夫妻 
秋めくや素肌の単衣朝薄し 
枸杞の実や石積む岸の滑川 
深夜の驛とんびの袖を振り訣れ 
言のみの猛威泡なす河豚鍋 
笛吹いて落第坊主暇あり 
干鰈はらご共に焼けてけり 
利休忌のがぶ飲みの茶を楽しめり 
海棠忌さびしきは人恋ふるなり 
蠅生れ戦車軍艦復た還る 
玉萵苣の早苗に跼みバス待つ間 
鬼やんまひとり遊べり櫟原 

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