俳句

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飴山實 

どの椿にも日のくれの風こもる 
婚礼の透けてゆくなり桑畠 
卯月野の木にちかづけばすぐ沾るゝ 
蚊を打つて我鬼忌の厠ひびきけり 
大雨のあと浜木綿に次の花 
酒蔵の酒のうしろのちゝろ虫 
少年の手中の胡桃鉄路越す 
奥能登や打てばとびちる新大豆 
冬耕の日あたるたびにあらはるる 
裏白を剪り山中に音を足す 
うつくしきあぎととあへり能登時雨 
小鳥死に枯野よく透く籠のこる 
何もかも映りて加賀の田植かな 
亀を売り森閑たりき町の角 
荒海をまへに木挽や初真瓜 
手にのせて火だねのごとし一位の実 
旅びとに三日を蹤けり花蘇枋 
苗床となりて濡れゐる蜜柑箱 
雀らの藪に入りこむ忘れ雪 

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