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阿部みどり女 ●

空蝉のいづれも力抜かずゐる 季
初冬の大塵取に塵少し 季
九十の端を忘れ春を待つ 季
かつぎ持つ裏は淋しき熊手かな 季
初鶏にこたふる鶏も遠からぬ 季
小波の如くに雁の遠くなる 季
冬の蜂勢ひを玻璃にとりもどし 季
啓蟄や幼児のごとく足ならし 季
朝よりは宵の香うすき花蜜柑 季
月下美人力かぎりに更けにけり 季
北上の空に必死の冬の蝶 季
空一杯鰯雲なり夢の中 季
啓蟄のカーテン引けば常の夜 季
天上をさして揃ひぬ箒草 季
金縷梅の折口白し墓地を行く 季
この中のかたき実に触れ棉の花 季
満天星の花より蜂の大きけれ 季
リラの花朝も夕べの色に咲く 季