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松瀬青々 

太箸のまろびよりけり歯朶の上 
杉箸ではさみし結昆布かな 
初夢の吉に疑無かりけり 
日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり 
暁をさへぎるものや桐の花 
梟なく夜のおもしろや玉子酒 
春近き雪よ霞よ淀の橋 
雪解の山べの濁り井に来る 
桃の花を満面に見る女かな 
一の湯の上に眺むる花の雨 
月見して如来の月光三昧や 
甘酒屋打出の浜におろしけり 
花大根遊女の塚を並べけり 
さらし井や糸瓜の花に水を打つ 
太祇忌やただ島原と聞くばかり 
葛城や綿の花さく一日路 
甘干に軒も余さず詩仙堂 
妹が宿菊の枕をつくりけり 
夜着の中此夜ぬくうも思ひつぐ 
達磨忌の障子明けたり茶の木原 
負ふた子や通草の花に手をのべる 
函根籠桜うぐひの一トならべ 
春の門鷽鳴きやんで夜と成ぬ 
氷魚くへば瀬々の網代木見たきかな 

松瀬青々全句集 上[本/雑誌] (単行本・ムック) / 松瀬青々/著 茨木和生/監修
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