俳句

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鈴木真砂女 

アパートがつひの棲家か木の芽和 
桃の花空の重たき日なりけり 
しばらくは職なき衣更へにけり 
立秋や雲の上行く雲とほく 
ある朝の帰燕高きを淋しめり 
二三日なまけごころや蓼の花 
湯豆腐や男の歎ききくことも 
老いてなほ漁師たくまし根深汁 
ふるさとの町に坂無し冬椿 
石蕗咲いていよいよ海の紺たしか 
初凪やもののこほらぬ国に住み 
俎始鯛が睨を効かせけり 
村百戸海老を栄螺を初荷とす 
まゆ玉のもつれもみせずしだれけり 
初鴉波高ければ高く飛び 
羅や人かなします恋をして 
来てみれば花野の果ては海なりし 
当てつけに死んでやらうか万愚節 
あるときは船より高き卯浪かな  (生簀籠)
鮪糶る男の世界覗きけり 
鮪より旬の秋鯖食うぶべし 
飛魚の干物にされてしまひけり 
真中に鮑が坐る夏料理 
九十年生きし春着の裾捌き 
梅雨寒や口さみしさの飴含み 
うそ寒やひともすまでの部屋の闇 
蛍袋は愁ひの花か上向かず 
襟元に風の小寒き雛流す 
海老網を繰るや満天星の下 
清明の水菜歯ごたへよかりけり 
鯛よりも目刺のうまさ知らざるや 
気がかりな空を気にして夜濯ぐ 

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