永田耕衣 ●
近海に鯛睦み居る涅槃像 季まん中を刈りてさみしき芒かな 季たわむれに老い行く如し冬の海 季夢の世に葱を作りて寂しさよ 季死ぬ蝶は波にとまりぬ十三夜 季白梅や天没地没虚空没 季かたつむりつるめば肉の食い入るや 季枯草の大孤独居士此処に居る 季空を出て死にたる鳥や薄氷 季流星や墨壱丁を照らしたる 季恋猫の恋する猫で押し通す 季うるめ焼く人にたのしく皿はあり 季鐘撞きに行くとは知らじ糸とんぼ 季澄む海や細かなる母を失ひき 季
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