野澤節子 ●
さきみちてさくらあをざめゐたるかな 季病む麦を刈りいづこへか運び去る 季せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ 季眠たさの涙一滴夏の風邪 季鹿の声ほつれてやまぬ能装束 季刃を入るる隙なく林檎紅潮す 季冬の日や臥して見あぐる琴の丈 季寒卵わが晩年も母が欲し 季朝日より夕日こまやか冬至梅 季初日記充たすもの何欠くるは何 季羽子の白いまだ暮色にまぎれず突く 季春昼の指とどまれば琴も止む 季遠き闇終の花火と知らで待つ 季西瓜赤き三角童女の胸隠る 季はじめての雪闇に降り闇にやむ 季風邪ごゑを常臥すよりも憐れまる 季柏餅の肌ねつとりと漁港曇る 季服着たる人の素足よ豆の花 季雲雀笛ひた吹く狂院暮れゐるも 季
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