俳句

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宇多喜代子 

鳥のほかなにも来はせぬ辻の春 
入口が出口となるよつばくらめ 
六月来ドアー開けきつて理髪店 
つらつらと婆が茣蓙のべ夏磧 
蚊帳の中いつしか応えなくなりぬ 
月の風マルセルマルソー吹かれけり 
稲刈の女のむかし尻高々 
白息をしずかに流し鶏を飼う 
天皇の白髪にこそ夏の月 
猪の荒肝を抜く風の音 
思ひ出す男のひとり明日ダービー 

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