月 click ⇒ ≪解説≫
月清し遊行のもてる砂の上 松尾芭蕉(おくのほそ道)入る月の跡は机の四隅哉 松尾芭蕉月天心貧しき町を通りけり 与謝蕪村なかなかにひとりあればぞ月を友 与謝蕪村月の風マルセルマルソー吹かれけり 宇多喜代子見つめをる月より何かこぼれけり 富安風生藁色の月出て鶴はねぐらかな 三嶋隆英ままごとのお客は猫と昼の月 秦夕美川上とこの川下や月の友 松尾芭蕉(続猿蓑)●浮世の月見過しにけり末二年 井原西鶴ふるさとの月の港を過るのみ 高浜虚子忍潮井や月も最中の影ふたつ 小見川梅庵徐々に徐々に月下の俘虜として進む 平畑静塔月も見て我はこの世をかしく哉 加賀千代女月入るや人を探しに行くやうに 森賀まり綾むしろ地に敷く月の蘇鉄かな 桜井梅室風ひそひそ柿の葉落としゆく月夜 野村朱鱗洞やるかたのなきに見て泣須磨の月 松岡青蘿この月よをちかた人にまどかなれ 久保より江ひととせの月を曇らす今宵かな 宗祇皆人の昼寝の種や秋の月 松永貞徳ほつと月がある東京に来てゐる 種田山頭火●おぼろおぼろ引つぺぐ胸の月清し 北条団水松の月枝に掛たりはづしたり 小西来山鎖あけて月さし入よ浮み堂 松尾芭蕉岩端やここにも独り月の客 向井去来ながむる月にたちぞうかるゝ 宗祇月はみだぼさつや二十御来迎 藤谷貞兼ふなばたや履ぬぎすつる水の月 松岡青蘿月の雲々からさ岐に離れゆき 辻嵐外おもかげや姨一人泣く月の友 加舎白雄弓張の角さし出す月の雲 向井去来いざさらば迎え次第に月の宿 鶴田卓池乞食を葬る月の光かな 藤野古白寝る人は寝させて月は晴にけり 岩田涼菟鎖あけて月さし入れよ浮御堂 松尾芭蕉閼伽は是れ月澄む松の下雫 山本安三郎かそけき月のかげつくりゆく蟲の音よ 野村朱鱗洞一つ家に一人寝て観る草に月 種田山頭火月落ちて物の怪めくや鷺の声 角川源義いつ死ぬか―樹海の月に渇きゐる 鈴木六林男俤や姥ひとり泣く月の友 松尾芭蕉(更科紀行)読みさして月が出るなり須磨の巻 正岡子規こんなよい月を一人で見て寝る 尾崎放哉称名に月も消えたる枕かな 武藤白尼