種田山頭火 ●
ふるさとの土の底から鉦たたき 季なかなか死ねない彼岸花さく 季分け入つても分け入つても青い山 季 (草木塔)ぬくうてあるけば椿ぽたぽた 季身にちかくあまりにちかくつくつくぼうし 季この旅、果もない旅のつくつくぼうし 季ほつと月がある東京に来てゐる 季●もりもり盛りあがる雲へあゆむ 季ぶすりと音たたて虫は焼け死んだ 季焼かれて死ぬる虫のにほひのかんばしく 季打つよりをはる虫のいのちのもろい風 季いつ死ぬる木の実は播いておく 季おもひでがそれからそれへ酒のこぼれて 季おちついて死ねそうな草萌ゆる 季●しぐるるや人のなさけに涙ぐむ 季一つ家に一人寝て観る草に月 季ひとりきいてゐてきつつき 季冬ぐもりひさびさ湯にいり金を借る 季鉄鉢の中にも霰 季どうしようもないわたしが歩いている 季いさかへる夫婦に夜蜘蛛さがりけり 季うしろ姿のしぐれてゆくか 季酔ざめの風のかなしく吹きぬける 季おもひでは波音がたかくまたひくく 季ぬくめしに雲丹をぬり向きあつてゐる 季今日のをはりのうつくしや落日 季鰯さいても誕生日 季うまれた家はあとかたもないほうたる 季ついてくる犬よおまへも宿なしか 季生き残る蠅がわたしをおぼえてゐる 季あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ 季朝凪の島を二つおく 季
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