平畑静塔 ●
えむぼたん一つ怠けて茂吉の忌 季黄落や或る悲しみの受話器置く 季寒菊に文字生きしまま灰の紙 季山姥は枝垂桜に紅を乞ふ 季徐々に徐々に月下の俘虜として進む 季藁塚に一つの強き棒挿さる 季胡桃割る聖書の万の字をとざし 季壺の国信濃を霧のあふれ出づ 季座る余地まだ涅槃図の中にあり 季身半分かまくらに入れ今晩は 季積草の青き底まで端午の日 季枯すすき海はこれより雲の色 季うすら氷の模様の底や常闇に 季猫の子の鈴も中也の詩を訪ひに 季のり出して日輪ゆらぐ寒造 季投票に出るや一本野川澄み 季秋服や人の絶信袂より 季
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