はなごろも ぬぐやまつわる ひもいろいろ
大正8年(1919年)ホトトギス6月号初出。杉田久女の代表句とも言える俳句。昭和7年(1932年)に久女が創刊した「花衣」は、この句に因む。
▶ 杉田久女の俳句
句評「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」
草間時彦「俳句十二か月」1981年
この句だが、待ちに待った花見も終った。疲れきって家に帰ると、しみじみと身にしみて感じられる。着物を脱いで、衣桁に掛けて行く。身を縛している紐を一本ずつほどいて脱いでゆく。なんと紐の多いことだろう。花衣を着るときや、着ているときではなく、脱いで行く動作で捉えたので、かえって花見の楽しさ、着物の絢爛さが眼に浮ぶようである。花衣を詠んだ句としては、今後、これ以上の作は現れないであろう。
高浜虚子「ホトトギス 大正8年8月号」1919年
此句の如きは、女の句として男子の模倣を許さぬ特別の地位に立つてゐるものとして認める次第である。
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