俳句

野宮の竹美しや春しぐれ

ののみやの たけうつくしや はるしぐれ

野宮の竹美しや春しぐれ村山古郷の俳句。京都市下京区に生まれた古郷は、京都を地盤とする嵯峨野の主宰でもあった。
野宮は、「竹林の小径」の中にある嵯峨野の観光名所。春時雨の頃の竹林には筍が顔を出し、竹林の勢いは衰える頃。落葉をひかえて黄味がかった葉は、冷たい水滴を弾くこともなく萎れ、幹に絡みつく。春は、竹にとって老いの美しさを見せる季節である。


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嵯峨野の野宮神社の句碑(京都市右京区)

野宮の竹美しや春しぐれ源氏物語でも名高い野宮神社は、古くは伊勢神宮に仕える斎王が伊勢に赴く前に身を清める場所であった。現在では嵯峨野の象徴とも言える「竹林の小径」の中に佇み、多くの観光客を迎えている。特に近年は、恋愛成就の神として有名になり、女性の参拝が多い。
句碑は、境内に鎮座する大山弁財天前の苔庭の中。昭和61年(1986年)4月6日、嵯峨野俳句会が建立したもの。建立当時、古郷は存命であったが、4か月後の8月1日に亡くなる。句碑の横にあった説明を、下に記す。

野宮の竹美しや春しぐれ 古郷
嵯峨野主宰村山古郷先生は 明治四十二年京都に生まれ 国学院大学をご卒業 幼時より令兄葵郷氏に俳句を学ばる。上京後 内田百間先生に師事し 大須賀乙字系「草上」「東炎」同人を経て戦後「べんがら」を主宰さる。
現在 社団法人俳人協会理事 鴫鴨立庵第廿世庵主 嵯峨野主宰。句集に「軒」「西京」「金閣」「古京」その他に著書に「大須賀乙字傳」「石田波郷傳」「文人句集書誌」並に「明治」「大正」「昭和」各俳壇史等多数「明治俳壇史」上梓に方り昭和五十三年 芸術選奨文部大臣賞受賞 昭和六十年俳句に於ける功績により 勲四等を受けられ 現在に至る。
昭和六十一年 四月六日 嵯峨野俳句会

【撮影日:2019年12月30日】

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