芋の露連山影を正しうす

いものつゆ れんざんかげを ただしうす

芋の露連山影を正しうす 俳句大正3年(1914年)11月「ホトトギス」巻頭の飯田蛇笏の代表句。「山廬集」(1932年)大正参年冬「露」に分類される。
前年、河東碧梧桐に対抗して高浜虚子がホトトギスに復帰したのを機に投句を再開し、巻頭を重ねてホトトギスの代表作家となった頃の句。

「芋の葉の露」とすることが一般的で、七夕と結びついていた「芋の露」が、この句により七夕を離れ、三秋の季語としての広がりを見せたと言われる。
しかし蛇笏のこの句は、芋の「露」というよりも、本来の「芋の露」の姿である七夕と結び付いてこそ、深い味わいが生まれるように思う。
里芋の葉の露で墨をすって、七夕の短冊に願い事を書く。「芋の露」が、己と連山とを未来で結びつける。

▶ 飯田蛇笏の俳句

句評「芋の露連山影を正しうす」

山本健吉「俳句とは何か」1993年

この句は初期の代表作であるが、若年にして確固たる蛇笏調を打ちたてているのを見るのである。里芋の畑は近景であり連山は遠景である。爽やかな秋天の下、遠くくっきりと山脈の起伏が、形をくずさず正しく連なっている。倒影する山脈の影も正しく起伏を描き出しているのであるが、「影」はまた「姿」にも通ずるのである。澄み切った秋空に、連山が姿を正すかのように、はっきりと、いささかの晦冥さをとどめず、浮かび上がっているのである。「芋の露」は眼前の平地の光景であり、かなりの拡がりを持った眺めでもある。広葉の露に、秋の季節の爽涼を感じ取ったのである。

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