しばらくは はなのうえなる つきよかな
月花の愚とはならない芭蕉の句
元禄4年(1691年)春の松尾芭蕉の句。「初蝉」(風国編1696年)所収。
「花」は桜のことで、季節は春。「月夜」は秋の季語として認識されているが、ここにいう月は「春の月」。
この句の意味は、「月光に桜が照らし出される夜が暫く続くことよ」といった感じであるが、ここにいう「しばらく」は「刹那」で、最高の時間はすぐに過ぎ去ってしまう意を含む。春の月は朧であり、浮き上がる景色もまたぼんやりしたものである。「ぼんやりした幸福感」に包まれた一瞬を切り取ったものか。
因みに、この「月夜」を満月の夜として考えた場合、新暦4月13日に詠まれたものだと考えられる。江戸の桜は、散り始める頃だったと思われる。
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亀戸天神社の句碑(東京都江東区)
亀戸天神社は、菅原道真の末裔で太宰府天満宮の神官であった菅原大鳥居信祐が、1661年(寛文元年)に道真ゆかりの飛梅で彫った天神像を奉祀したのが始まり。
亀戸天神社の境内にある「しばらくは花の上なる月夜かな」の芭蕉句碑は、菅原道真公が亡くなって900年となる、1802年春の命日に建立されたもの。芭蕉110年忌を併せて祀る。
句碑の揮毫は大島完来で、碑陽に「しばらくは花の上なる月夜哉 芭蕉 錦帳の鷄世を学の戸やほとゝぎす 嵐雪 明月やそゞろに走る秋の雲 吏登 かり初に降出す雪の夕かな 蓼太」、碑陰に「松の月月の松影よもすがら 四世雪中庵完来 しら雪やをのつからなるひと夜松 夜雪庵普成 白妙や花のあらしも松風も 葎雪午心 享和二年壬戌春二月廿五日建之」とある。蕉門の流れを汲む雪門の句碑であり、碑陽の芭蕉以外は、芭蕉十哲のひとりで一世雪中庵である服部嵐雪、二世雪中庵の桜井吏登、三世雪中庵の大島蓼太である。
境内には多くの石碑があり見つけにくいが、太鼓橋(男橋)を渡ってすぐに右折し、さらに橋を渡った左手にある。この句碑は、江東区の有形文化財に指定されている。句碑の横には案内板があり、下記のようにある。ただし、「芭蕉百年忌にあわせて建立する」の箇所は、百十年忌の間違いだと思う。
聖廟九百年御忌句碑
しばらくは花の上なる月夜哉 芭蕉翁
表面 芭蕉翁 服部嵐雪 桜井吏登 大島蓼太 裏面 四世雪中庵完来 夜雪庵普成 葎雪午心
菅原道真公の御神忌九百年にあたる享和二年(一八〇二)二月二十五日 芭蕉門下の人々が芭蕉百年忌にあわせて建立する。
【撮影日:2021年4月9日】
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