俳句

いざ行む雪見にころぶ所まで

いざゆかん ゆきみにころぶ ところまで

芭蕉の雪見

いざ行む雪見にころぶ所まで松尾芭蕉、1709年(宝永6年)の「笈の小文」に下記のようにある。

 有人の會
ためつけて雪見にまかるかみこ哉
いざ行む雪見にころぶ所まで

真蹟懐紙には

1)
書林風月ときゝし其名もやさしく覚えて、しばし立寄てやすらふ程に、雪の降り出ければ、
 いざ出むゆきみにころぶ所まで
  丁卯臘月初 夕道何がしに送る(芭蕉翁遺芳)

2)
あるひとのもとにあそびて、ものくひさけのむほどに、ゆきのおかしう降出ければ、
 いざ出む雪みにころぶ処まで(芭蕉全図譜)

とあり、貞享4年(1688年)12月初旬に詠まれたことが記されている。12月3日(1688年12月25日)、名古屋風月堂の夕道亭での吟であり、これが初案。
「いざ行む」のかたちをとるのは「笈の小文」のほか、「曠野」(1689年)。ほかに「花摘」(1690年)や「陸奥鵆」(1699年)などに「いざさらば雪見にころぶ所まで」。

現代語訳すると、「転ぶところまで雪見に行きましょう」という意味になる。遊びに興じようとする中に、既に「転ぶ」という限界が詠み込まれているところに芭蕉らしいおかしさがある。季語は「雪見」で冬。

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