俳句

雑閙や熊手押あふ酉の市

ざっとうや くまでおしあふ とりのいち

雑閙や熊手押あふ酉の市「俳句稿」所収。明治32年冬人事「遥かに望めば」の前書きがある正岡子規の句。
「俳句稿」では、「冬籠」と「神の旅」に挟まれるようにある一連の「酉の市」の句の9番目。

酉の市小き熊手をねぎりけり
吉原を始めて見るや酉の市
傾城に約束のあり酉の市
お宮迄行かで歸りぬ酉の市
お酉樣の熊手飾るや招き猫
縁喜取る早出の人や酉の市
女つれし書生も出たり酉の市
子をつれし裏店者や酉の市
雑閙や熊手押あふ酉の市
夕餉すみて根岸を出るや酉の市

子規が当時住んでいた根岸から、歩いて約30分。吉原に立ち寄り、浅草の鷲神社の酉の市では、人の多さに参拝もせず、ひとり熊手を買って帰ったか。これらの酉の市の句に先駆けて、同じ「俳句稿」明治32年冬人事の句に、

吉原てはくれし人や酉の市

もある。一緒に行った友人は、傾城に引かれてはぐれてしまった…

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鷲神社の句碑(東京都台東区)

雑閙や熊手押あふ酉の市其角の「春をまつことのはじめや酉の市」の句碑や、樋口一葉文学碑とともに、鷲神社境内に立つ。
台東区では正岡子規没後百周年記念事業として、台東区俳句人連盟の協力の元、子規が台東区内で詠んだ約2000句を選別。そして11基の句碑を建立したが、この句碑は、そのなかのひとつ。平成12年2月に建立された。揮毫は、台東区俳句人連盟会長を務めた松崎守利氏。

【撮影日:2018年8月5日】

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