俳句

季語|鯨(くじら・いさ・いさな)

三冬の季語 

初鯨(はつくじら)・抹香鯨(まっこうくじら)・背美鯨(せみくじら)・座頭鯨(ざとうくじら)・長須鯨(ながすくじら)

鯨哺乳類クジラ目は、歯を持つハクジラと、歯を持たずヒゲを持つヒゲクジラに大別される。ハクジラ類には、マッコウクジラやイルカが含まれ、ヒゲクジラ類にはセミクジラやナガスクジラ、ザトウクジラが含まれる。日本周辺には、上記4種を含む約40種類が生息しており、太平洋側のホエールウォッチングでは主にマッコウクジラやザトウクジラが観察できる。
多くのクジラには回遊する習性があり、ザトウクジラは、冬は沖縄や小笠原の海、夏はとロシアやアラスカの海へと移動する。ホエールウォッチングは、北海道では夏場、沖縄では冬場がベストシーズンとされる。
俳諧歳時記栞草(1851年)では「鯨突」が冬之部に分類されており、紀州熊野浦では仲冬が盛りだとする。ここから「鯨」も冬の季語に分類される。

万葉集では「鯨魚(いさな)」と呼ばれ、長歌に多く歌われている。「鯨魚取り」で、「浜」「海」「灘」を導く枕詞になる。古事記では神武天皇条の長歌に「久治良(くぢら)」があるが、鯨を指すかどうかは不明。
「くじら」の語源は、背が黒くて腹が白いことから、「くらしら(黒白)」と呼ばれていたものが転訛したところからきたとの説が有力。

日本では古くから食されており、縄文時代の遺跡から鯨の骨が発掘される。座礁鯨を食材としたのが鯨食の始まりだと考えられている。鎌倉時代には手銛による捕鯨が始まり、江戸時代のはじめに和歌山の太地で、網をかけて銛で突く漁法が発見されたことで捕鯨が拡大した。
19世紀に始まった捕鯨砲を用いるノルウェー式捕鯨は、捕鯨を容易にし、おもに鯨油を得るための鯨の乱獲をまねいた。1948年には国際捕鯨委員会(IWC)が設立され、1982年には商業捕鯨モラトリアムが採択され、商業捕鯨は一時停止されることとなった。

【鯨の俳句】

鯨よる浜とよ人もたゞならず  尾崎紅葉

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