三夏の季語 鯵
スズキ目アジ科アジ亜科に属す青魚で、主にマアジを指す。「ぜんご」「ぜいご」と呼ばれる体側の稜鱗が特徴であり、白身魚と赤身魚の中間の身質を持つ。
マアジは北西太平洋の固有種で、北海道から南シナ海までに分布し、春には北上、秋には南下する回遊性のものと、居つき型(瀬つき)のものが存在する。西日本では1月から5月、東日本では5月から7月が産卵期であり、回遊性のものは3月頃の九州にはじまり、5月に房総沖、9月に三陸沖で旬となる。居つき型の鯵の旬は夏で、その代表格である「関アジ」はブランド魚として有名であり、大分県大分市佐賀関の名産である。
体側に縦帯があるシマアジは、「縞鯵」「島鯵」と書き、1メートルにもなる大型の鯵で、最高級のアジとも言われている。6月から8月が旬である。
味が良いことから「アジ」の名がついたとされる。ちなみに「鯵」は国字ではないが、「旨くて参る」の意味を持っていると説明されることがある。
「俳諧歳時記栞草」には夏之部五月に分類され、「大和本草」の引用で「東南の海に生るもの、形肥大たり。夏秋、肉多く味美なり。冬春、美ならず。又室鯵・島鯵あり、味劣る」とある。
【鯵の俳句】
活鯵や江戸潮近き昼の月 小林一茶
世の中を知らずかしこし小鯵売 宝井其角