晩春の季語 海棠
花海棠(はなかいどう)・垂糸海棠(すいしかいどう)・眠れる花(ねむれるはな)・睡花(すいか)
海棠は、バラ科リンゴ属ハナカイドウのことで、4月頃に桜に似た花を下向きにつける。中国原産で、江戸時代初期に渡来。室町時代に渡来した同属のミカイドウ(実海棠)に対して、花を愛でるために「花海棠」とも呼ばれる。
「海棠」は中国名で、日本ではこれを音読みして「かいどう」と呼んでいる。「棠」は山梨を表す漢字で、「海棠」は海辺に生る山梨の意を持つ。
俳諧歳時記栞草(1851年)では春之部三月に分類し、唐の明皇(玄宗皇帝)が楊貴妃を呼んだ時、酒に酔って眠たげな姿を見て「海棠の睡り未だ足らずのみ」と評したことが記されている。このことにより、「眠れる花」とも呼ばれる。
久米三汀の忌日(3月1日)は、その風格を偲び、石塚友二が「海棠忌」とした。
【海棠の俳句】
海棠のしたたる雨となりしはや 福永耕二