初秋の季語 芙蓉
アオイ科フヨウ属の落葉低木。中国では蓮のことを芙蓉と呼んでおり、日本では、区別するために「木芙蓉(もくふよう)」と呼ぶ。蓮のことは「水芙蓉(すいふよう)」とも呼ぶ。ただし、俳諧歳時記栞草では、「木芙蓉」と書いて「ふよう」と読ませ、蓮のことを「草芙蓉」と呼んでいる。
槿(むくげ)と似ているが、槿は雌しべの先が真っすぐなのに対し、芙蓉は上に向いて曲がる。ハイビスカスも近縁種である。
中国原産で、沖縄、九州・四国の海岸近くに自生する。7月から10月頃に花をつける。朝咲いて夕方には萎む1日花で、次々に花を咲かせる。「酔芙蓉」は、朝は白く、時間が経つにつれて赤みがかってくるため、酔った姿に擬して名がついた。
富士山には、「芙蓉峰」あるいは「芙蓉」の名がついている。
【芙蓉の俳句】
日を帯びて芙蓉かたぶく恨みかな 与謝蕪村
たちいでて芙蓉のしぼむ日に逢へり 加舎白雄