季語|霾(つちふる)

三春の季語 

黄沙降る(こうさふる)

季語と俳句で霾アジア内陸部の砂漠などの乾燥地帯の砂塵が、強風で巻き上げられ飛来する。年中起り得る気象現象ではあるが、雪や氷が解け、偏西風が強くなる春、特に4月が最も多くなる。
黄砂の発生場所は、タクラマカン砂漠・ゴビ砂漠・黄土高原などで、そこで発生する砂塵嵐のことを中国語で沙塵暴と言い、特に大きなものは黒風暴という。
殷の時代に用いられた甲骨文字には既に「霾」が出現し、不吉な兆候ととらえられていた。杜甫の「鄭駙馬宅宴洞中」の一節「已入風磑霾雲端(すでに風磴に入りて雲端に霾る)」は、松尾芭蕉「おくのほそ道」の「尿前の関」に「雲端につちふる心地して、篠の中踏分踏分、水をわたり岩に蹶て、肌につめたき汗を流して、最上の庄に出づ」に取り入れられた。
日本の文献における初出は、「吾妻鏡」 文永3年2月1日(1266年3月16日)「晩に泥の混じる雨降る。希代の怪異なり」とされる。しかし、江戸時代以前はそれほど意識される気象現象ではなかったと見え、俳諧歳時記栞草にも「霾」や「黄沙」などの項目はない。

【霾の俳句】

黄沙降るはるかとなりし旅ひとつ  林十九楼

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