俳句

季語|黴(かび)

仲夏の季語 

黴の顕微鏡写真(Aspergillus)菌糸からなる糸状菌(しじょうきん)。子実体をつくるものをキノコと言うが、コロニーを形成して目に見える形となったものをカビという。高温多湿化で生育するものが多いため、日本では梅雨時に黴が生えやすくなり、夏の季語となる。
顕微鏡で見ると、菌糸と呼ばれる糸状の細胞が観察できる。その菌糸は、胞子が発芽することによって形成される。有機物から栄養分を得ながら伸張し、単性生殖と有性生殖の両方を行うことが知られている。

数万にのぼる種類のカビが知られており、食品を腐らせたり、アレルギーなどの病気を誘発する悪い生物として認識されている。クロカビやアオカビが、生活する中で馴染み深いものであり、中には水虫の元になる白癬菌などもある。
しかし、コウジカビなど、食品の製造に欠かせない種類のカビや、ペニシリンなどの抗生物質を生み出す有益な種類のカビもある。日本では古くから、カビを利用した食品の製造が行われており、酒・醤油・漬物・納豆・鰹節などがそれにあたる。海外でも、チーズの製造などにカビを活用している。

語源は「醸す」にあると言われ、「醸ぶ(かぶ)」の転訛とされる。
慣用句に、時代遅れを表す「黴が生える」がある。

【黴の俳句】

黴の中言葉となればもう古し  加藤楸邨

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