椿(つばき)

三春の季語 椿

山茶(さんちゃ)・山椿(やまつばき)

季語ツバキ科ツバキ属の常緑樹で、冬から春に花をつける。普通に見られるヤブツバキは、日本原産。同じツバキ属の山茶花は花びらがひとつひとつ散っていくのに対し、椿は花ごと落花するため、病床では厭われる。首が落ちるような落花の様を武士が嫌っていたというのは俗説で、武士は、その潔さを愛でた。江戸時代には特に二代将軍徳川秀忠が好んだことから、ユキツバキなどと掛け合わせる品種改良が盛んに行われ、花だけでなく葉や枝も観賞対象とした。
椿の木をヨーロッパに持ち帰った宣教師カメルに因み、西洋では「カメリア」の名で知られている。1848年には、フランスのアレクサンドル・デュマ・フィスが小説「椿姫」を書き上げ、現在まで世界各地で舞台公演・映画化が行われている。

椿の種子から採取する椿油は燃料油にするなど、様々な用途があるが、特に整髪料としては有名で高価。縁結びに御利益があると言われる島根県の八重垣神社は、夫婦椿こと「連理の椿」があることでも知られているが、資生堂の花椿マークは、この八重垣神社にある椿をモチーフにしている。なお、八重垣神社の御祭神は、ヤマタノオロチ伝説で知られる素盞嗚尊(スサノオノミコト)と櫛稲田姫(クシナダヒメ)である。和歌のはじめとされる「八雲立つ出雲八重垣妻込みに八重垣造る其の八重垣を」に因む神社である。
椿には神霊が宿るという伝承があり、椿の古木は化けると言われている。また、人魚の肉を食べて800歳まで若さを保ったとされる八百比丘尼は、椿の花を持って全国行脚したとされる。
万葉集には椿の歌が9首あり、坂門人足は

巨勢山のつらつら椿つらつらに 見つつ思はな巨勢の春野を

と歌った。この歌をはじめとして、万葉集には、列をなした椿をつらつら見る「列々椿」の歌が2首ある。

「つばき」の語源は、光沢のある葉を成す木のことを指した艶葉樹(つやばき)とされる。なお、「椿」の字を当てるのは日本独自のものであり、中国では「海石榴」である。中国で「椿」は、チャンチンというセンダン科の植物のことである。

赤い椿白い椿と落ちにけり  河東碧梧桐

インターネット歳時記


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