初夏の季語 苺
狭義には、バラ科オランダイチゴ属オランダイチゴのことで、古来自生しているキイチゴ属やヘビイチゴ属に分類される「ノイチゴ」とは区別する。この近代栽培イチゴは、18世紀にオランダの農園で、北米産のバージニアイチゴとチリ産のチリイチゴの交雑によって作られた。
俳諧歳時記栞草には「覆盆子(いちご)」が夏之部に見えるが、これはノイチゴのことである。
日本には、江戸時代にオランダより持ち込まれた。戦後盛んに栽培されるようになり、栽培技術も発達したため、年中店頭に並ぶようになった。しかし、夏場の収量は少なく、ほとんどが輸入もの。
苺といえば夏の季語であるが、クリスマスでの活躍や、春のイメージが強いのではないだろうか。実際に、11月から4月には温室栽培され、3月頃に出荷量がピークを迎える。かろうじて夏と言える5月には、露地物の苺が出回るが、出荷量はピーク時の半分に過ぎない。ただし、太陽をいっぱいに浴びて育ったこの初夏の苺にこそ、本来の味わいがある。
現代社会の高級志向により、品種改良合戦とも言える状況になっており、その結果「とよのか」「とちおとめ」など、大粒でより甘いものが生産されるようになった。
【苺の俳句】
ほろほろと手をこぼれたるいちごかな 正岡子規