初夏の季語 麦秋
後漢の蔡邕「月令章句」に、「百穀各以其初生為春 熟為秋 故麥以孟夏為秋」とある。つまり、穀類にとって、芽が出る時が春で、熟す時が秋となる。よって、麦にとっては初夏が秋であり、「麦秋」は夏の季語になる。
七十二候に「麦秋至」があり、6月初め頃になる。通常は冬蒔き小麦が6月に収穫されるが、小麦の栽培が最も盛んな北海道では、春蒔き小麦が主で、8月中旬に収穫される。また、秋蒔き小麦もあり、融雪と同時に発芽したものが、7月末頃から収穫期を迎える。
夫木和歌抄に源俊頼の歌として、
御園生に麦の秋風そよめきて 山郭公しのび鳴くなり
が載る。
【麦秋の俳句】
草原へ投網なげ干し麦の秋 原石鼎
青雲と白雲と耀り麦の秋 日野草城