三秋の季語 鶏頭
ヒユ科の一年生植物で、7月から12月頃に、ニワトリのトサカに似た花を咲かせるために「鶏頭」の名がある。原産地は、インドと言われ、日本には奈良時代には渡来しており、韓藍(からあい)と呼ばれていた。万葉集には4首登場し、山部赤人の和歌に
我が屋戸に韓藍蒔き生し枯れぬれど 懲りずてまたも蒔かむとぞ思ふ
とあるように、当時から好んで栽培されていた花である。また、詠み人知らずの和歌に
秋さらばうつしもせむと我が蒔きし 韓藍の花を誰れか摘みけむ
があるが、この歌より、花をうつし染めに用いたことが分かっている。因みに韓藍は、「美しい藍色」の意味をも持つ。
学名は Celosia cristata で、 Celosia はギリシャ語の「燃焼」を語源とする。花と葉は、食用とされることもある。
【鶏頭の俳句】
鶏頭の十四五本もありぬべし 正岡子規