三冬の季語 水鳥
水辺に棲息する鳥の種類は豊富で、季節を問わず観察できるが、「水鳥」は冬の季語となる。水鳥の代表的なものが、日本では冬鳥としてやってくるからである。主なものは、鴨・白鳥・鳰・都鳥・千鳥などである。水禽(すいきん)とも言う。俳諧歳時記栞草では「浮寝鳥(うきねどり)、水鳥をいふなり」とあり、御傘の引用で「水鳥は昼もよく寝る物也。故に夜分にあらず」とある。
因みに「水鳥の巣」は、夏の季語。
万葉集には「水鳥」が8首で使われる。その中の3首は「水鳥の鴨」と歌われる。詠み人知らずの和歌に、
水鳥の鴨の棲む池の下樋なみ いぶせき君を今日見つるかも
がある。
隠語で「すいちょう」と読み、「水」と「酉」から「酒」を指す。また、酒飲みのことをも指す。
【水鳥の俳句】
水鳥も船も塵なり鳰のうみ 桜井梅室
水鳥やむかふの岸へつういつうい 広瀬惟然