俳句

季語|焚火(たきび)

三冬の季語 焚火

夕焚火(ゆうたきび)

焚火の俳句と季語(平清盛炎焼病之図)戸外で暖をとるために、落葉などを集めて火を焚くことをいうが、その火を指すこともある。歴史は古く、40万年以上前から焚火は行われていたと考えられており、日本では長崎県佐世保市の洞窟内で、旧石器時代の焚火跡がみつかっている。
かつては、工事現場などの屋外で働く作業員にとって必須のものであり、焚火の中に芋や栗などを入れて焼き、食すことも普通に行われていた。近年は、地球温暖化対策や大気汚染対策などの絡みで焚き火に関する法律が整備され、安易に焚火をすることはできなくなった。
落葉を使った焚火は「落葉焚」ともいう。三冬の季語ではあるが、落葉が多く発生する晩秋に近い季語でもある。

焚火は宗教とのつながりも深く、世界のいたるところで火祭りが行われている。日本では芸能にも結び付き、薪能が生まれたが、「薪能」は春の季語となる。
古事記には、倭建(ヤマトタケル)東征の項に連歌の起源となる物語があるが、倭建の「新治 筑波を過ぎて 幾夜か宿つる」に「かがなべて 夜には九夜 日には十日を」と付けたのが御火焼の老人(みひたきのおきな)で、焚火との関係を伺わせる。
1941年に発表された童謡に「たきび」があり、「かきねの かきねの まがりかど たきびだ たきびだ おちばたき」と歌われる。

焚火は古くから行われてきたにも関わらず、冬の風物詩として認識されたのは近年である。かつては、季節を問わず生活の中に組み込まれ、詩情が湧き起こるものではなかったのかもしれない。

【焚火の俳句】

隆々と一流木の焚火かな  高浜虚子
隆々と一流木の焚火かな  秋元不死男

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