初秋の季語 蓼の花
蓼の穂(たでのほ)・穂蓼(ほたで)
タデ科イヌタデ属の植物全般を一般的には「タデ」と呼ぶ。しかし、「蓼食う虫も好きずき」でいう蓼はヤナギタデのことであり、「蓼」で夏の季語となる。
通常は、7月から10月頃に咲くヤナギタデの花を「蓼の花」と呼んで秋の季語にする。よく見かけるイヌタデの花も「蓼の花」として差し支えないが、「赤まんま」と呼んで区別することが多い。
ヤナギタデは、日本全国の水田や湿地に生育し、葉が柳に似ることから名がついた。葉には強い辛みがあり、刺し身のつまにしたりする。
万葉集には「穂蓼」の和歌が2首あり、平群朝臣には
童ども草はな刈りそ八穂蓼を 穂積の朝臣が腋草を刈れ
がある。これは、穂積の朝臣の腋臭をからかった歌で、「八穂蓼を」は「穂積」に掛かる枕詞である。因みに「八穂蓼」はヤナギタデのことである。
【蓼の花の俳句】
二三日なまけごころや蓼の花 鈴木真砂女